身につけていたものがやけに高い物ばかりだったことも、こんなところで帽子を深めに被ってサングラスをかけてマスクまでして、できるだけ顔が隠れるようにしていたことも。

彼の正体を知ってしまえば、全部納得のいくことだ。


いや、それでも家の前で寝るのは勘弁してほしいけどね!?


はあ。わたしってば、なんで気づかなかったんだろう。

アイドルに興味がないって言ったって、頻繁にテレビを見てたら気づけたはずじゃん。
まあ、でももう会うこともないし、過ぎたことを後悔しても仕方ないよね。


さあ、気を取り直して昨日録画してたドラマでも観ようっと。
この時のわたしは彼が言った“またね”の意味を知る由もなかった。