そんな時、ピンポーンとインターフォンが鳴った。
誰か来たのか……?
そう思い、取り付けられている機械で確認するとそこに映っていたのは上埜和真だった。
「は?なんでコイツが……」
柚音ちゃんのことを疑っているわけじゃないけど、なんで家の住所知ってんだよとか俺には言わなかったのにコイツには熱で出たって言ったのかよとか嫉妬にまみれた黒い感情が湧き上がってくる。
勝手に出たら柚音ちゃんに怒られそうだけど、コイツにはバレてもいいや。
つーか、俺が柚音ちゃんの彼氏なんだから変な虫には早く退散してもらわねえと。
そう思って、玄関のドアをガチャリと開けて顔を出した。
「柚音!?……って、漆葉善……?」
柚音ちゃんが出てくると思っていた上埜先輩は当然俺の顔を見て、動揺の色を見せた。
おー、俺の名前、一応知ってくれてんだ。
それは光栄だな。



