「はい、あーん」
俺がそう言って彼女の口元にスプーンを近づけると、自然と口を開けてパクっと食べる。
そして、口をモグモグと動かしている。
ハムスターみたいで可愛いな。
その作業を数回、繰り返して鍋に入っていたお粥は空になった。
「ご馳走様でした。美味しかった。ありがとう、善くん」
「どういたしまして。ほら、あとは薬飲んで寝よ」
ご飯を食べたからか、俺が来たときよりも少し顔色がよくなっている。
あとは薬飲んで寝とけば、明日にはよくなるだろう。
俺もそろそろ帰るか。
「薬……嫌い」
「嫌いって言われてもなあ」
飲まねえとよくならねえし。
「いい子にしてたのにご褒美くれないし……」
いじけたようにそう言い、頬を膨らませて拗ねている。
「あー、もうそんな顔されたら我慢できねえ」
人がせっかく我慢してやってんのにそんなのズルい。
俺の理性がもたない。
あとで文句言っても知らねえからな。



