「さあ、どうだろうな」
「一回、聞いてみてくんね」
「はあ~、俺いいように使われてんなあ」
そう言いながらもスマホを取り出して、野原さんにメッセージを送ってくれている。
「まじで感謝」
「なんか奢れよー」
「わかったって。明日、事務所のA定食奢るから」
「よし。約束だからな」
「わかった」
「つーか、お前彼氏なのに知らねえの?喧嘩でもした?」
ごもっともすぎる満の意見にグッと喉が鳴る。
「いや。聞いても返事、返ってこねえ」
まじでなにしてんだよ。
いつもはわりとすぐ返信くれるのに。
「初恋相手に再会したからだったりして」
「お前、縁起でもないこというなよ。明日奢んねえぞ」
俺だって、それは気にしてんだから。
上埜和真は業界でも人気の若手で、性格だって俺みたいにひねくれてなくて優しいってよく聞くし。
そうでなくても俺の彼女はイケメンに弱いのに。