パーフェクトな君の弱点。



未だに心臓がうるさい。

だって、あんなにかっこいい人と話すことなんてカズくん以来なんだもん。
名前くらい知りたかったな。

そう思いながら、机の上に置いてあるテレビのリモコンを取ってピッと電源を入れる。


『本日、今話題のSiriusの最新曲のMVが公開されました。今回は初めての恋を歌った可愛い曲になっており、振付にも注目です』


そんなアナウンサーの声と共に流れてきたMVを観て、持っていたリモコンを床に落とした。

だって、そこに映っていたのはさっきまで一緒にいた彼によく似ていたから。
いや、似ているなんてレベルじゃない。

あれは本人だ。

マスクをつけていたけど、あのアーモンドみたいな茶色い瞳は先程見ていたものと全く一緒。
やっぱりマスクをとってもかっこいい。



「漆葉……善……」


テレビに表示されている名前を読み上げる。

彼も芸能人だったの……!?
しかもめちゃくちゃ人気ありそうじゃない……!?


慌てて、スマホを手に取ってネットで名前を検索にかける。
すると、欲しい情報が簡単に入ってくる。