「柚音?どうかした?」
カズくんとは反対方向を向いて自分の頭をポカポカ殴っていると不思議そうにカズくんがわたしを見つめて言った。
「あっ、いや!なんでもないよ!」
危ない。奇行に走っているところがバレるところだった。
「今日の朝は突然あんなこと言ってごめん」
「大丈夫だよ」
全然大丈夫じゃなかったけど、そういうしかない。
「俺、この学校に入学して一年経って、今年本当に柚音が入学してきてくれるか不安だったんだ。何年も前の話だったし、その間に連絡は取れなかったし……でも柚音のこと忘れたことはなかったよ」
嘘偽りのない曇りなき瞳がわたしを見つめ、大好きだった笑顔を向けてくれている。
わたしだって少し前までは忘れたことなんてなかった。



