パーフェクトな君の弱点。



無難にウインナーパンとかの惣菜パンの方が良かったかな?

基本的にわたしは甘いパンしか食べないから買ってないしな……。


「いや。好きだよ。ありがとう、もらってく」


ふわり、と微笑んだ彼の笑顔があんまりにも優しくてドッドッドッと鼓動がうるさく高鳴っていく。

甘いのが好きだと言われただけなのに、まるで自分に言われたかのように錯覚してしまう。


「じゃあ、またね」


それだけ言うと、彼が出ていったのかバタンと玄関のドアが閉まる音が聞こえた。

“またね”

なんて言っていたけど、名前も知らないし“また”なんてあるわけない。


それにしてもかっこよかった……。
どうせならマスク外してもらえばよかった。


「はあ~~~」


ため息をつきながら、ソファの近くに置いてある、わたしの身長くらいの大きなピンクのクマのぬいぐるみにダイブして顔を埋める。