たくさん努力して手に入れた人気なんだろうなあ。
そんなこんなで、この学校に入学した理由もすっかり頭から抜け落ちていた。
「漆葉くん、ゆのたんのこと溺愛してるよね〜」
朝、学校までの通学中に希織ちゃんがニヤニヤと頬を緩ませながら言った。
「うっ……自覚はあります」
だって、あんなに好きだって伝えてきて行動も全部わたしのこと本当に好きでいてくれてるんだって思えるくらい善くんは甘い。
「はあ〜羨ましいなあ〜〜わたしにも幸せ分けてよ〜〜」
「希織ちゃんはどうなの?」
満くんとなにか進展はあったんだろうか。
「なーんにもないよ。満のこと追いかけてここまで来たけどさ、全然ダメっぽい」
「そんなことないよ!満くんだって照れくさいだけだって!」
わたしから見たら二人は両想いに見えるんだけどなあ。
満くんの気持ちがわからないからなんとも言えない。
でも、希織ちゃんは可愛いしいい子だから早く報われてほしい。