パーフェクトな君の弱点。



「なんで自分の家の場所が疑問形なんですか?」


そもそも、なんでさっきから自分の家がどこかわからないの?

引っ越してきてすぐだったとしても家の場所くらい覚えてるでしょ。


「家なんてしばらく帰れてねえし。忘れた」

「ええ!?」

「んな、驚くなよ。お前と違って俺は暇じゃねえんだよ」


黒のバケットハットを深くまで被り、サングラスを手に取ってかけ、ポケットに入っていたスマホを取り出して画面を見ている。

た、助けてあげた人に向かってそんな言い方ある!?

確かにあなたは忙しいのかもしれないし、わたしは暇かもしれないけど!


「わ、わたしだって忙しいですけど!?」

「つーか、お前さ、俺が誰だかわかってる?」


わたしの言葉は無視!?


「わたしたち、初対面ですよね?」

「……そうだな。俺もお前のことは知らない」


当たり前だ。
こんな人、わたしの知人にいないもん。