「お前は意外と繊細だからな。なんかあったら言えよ」
「おー、ありがと」
俺の家まで着いたので、車から降りて満に手を振る。
「じゃあ、また明日」
「ちゃんと寝るんだぞー」
「わかってるよ。お疲れ様でした」
マネージャーに頭を下げて走り出した車を見送る。
そして、スマホを操作しながらエレベーターに乗って、彼女に電話をかけた。
―――プルルッ
『もしもーし。善くん?』
「起きてた?」
ワンコールで出るところもまた可愛くてたまらない。
俺が電話すんの待ってたとかだったりして。
思わず、緩む頬を手で必死に隠す。
『起きてたよー、ちょっと善くんのこと待ってた』
「ふっ……可愛いじゃん」
やっぱり待ってたんだ。
ほんとどこまでも可愛くて困る。
返答がないってことは照れてんだろうなあ。
そんなことを思いながら柚音ちゃんからもらったクマのキーホルダーがついた鍵を取り出してガチャリと回して鍵を開け、中に入った。



