あの日は疲労困憊だったにしてもあんなに深い眠りにつけることはここ最近はなかった。
一年ぶりくらいにぐっすりと熟睡できて、自分でも驚いていたけどもっと驚いたのは柚音ちゃんの態度。
家の前で寝落ちしてた俺もなかなかやばいし申し訳ねえとは思ってるけど、普通知らねえ男を家に泊めるか?
普通ならありえねえ話だけど、柚音ちゃんの性格を知ってしまえば頷けてしまうから怖い。
俺が彼女に心を奪われたのはクリームパンを差し出された時。
いや、自分でも意味わかんねえところで落ちたなとは思うし、満には散々笑われたけど誰かもわかんねえやつ泊めて、しまいには自分のオススメのパンくれる女なんていなくね?
しかも、なんかめちゃくちゃ嬉しそうに渡してくれて、あの恥ずかしそうな、でも何だか優しい笑顔に簡単に落ちた。



