パーフェクトな君の弱点。



やっぱり、芸能界で生きていくためにはそれなりの礼儀は必要なんだよね。

しっかりしてるなあ、みんな。

はっ、感心してる場合じゃないや。

みんなの視線がわたしの方に向いているではないか!


「さ、漣柚音です……よろしくお願いします」


初対面なのは満くんだけなので、とりあえず彼に向かってお辞儀をする。


「君が漣柚音ちゃんか。噂通りいい子そう。よろしくね」


噂通りとはなんのことだろうか。

全然わからないけど、とりあえず笑顔が優しくて眩しくて思わず頬が緩んでしまう。

握手を求められて手を出されたけど、その手を掴んでいい物か悩ましい……。

だって、握手っていっても好きな相手が目の前で他の女の子と手が触れ合うとか嫌じゃない?


「その手、やめろ」


なんて、考えているとなぜか善くんがわたしの前に立ってそう言った。


え、なんか声が怒ってません……?

やっぱり今日は来ない方がよかったのでは……?