「いやいやいや!そりゃ卒業して以来こうして会うのは初めてだけど、東京で生活してたら絶対俺と目合ってるから!むしろ避けて通る方が難しいよ、うん」
俺は腕を組みながら自分で自分に言い聞かせるように言った。
「ごめん、何の話してるワケ?アンタが何?」
「例えばさ、新宿。行くっしょ、新宿。東口と西口の通路に大型ビジョンあるだろ?今《《俺が》》出てるサイダーのCMが流れてるし、プロムナードの方は《《俺が》》イメージモデルやってる脱毛サロンの広告がどーんと載ってるから!あとグミのCMもやってんだけど、それのラッピング電車が山手線を走ってるし、ホームから見える看板にも《《俺の》》広告めちゃくちゃあるから!!」
「あ〜。そういえばアンタなんかアイドル活動してるんだっけ?」
なぜだろう、無性にイラっとする。
いや別に間違ってはいないんだが、〝アイドル活動〟って、なんとなくまだ売れてないアイドルのことを言う時に使う気がするのは俺だけだろうか。
「・・・まぁそんな感じ。Stellaって言えばわかるだろ?俺はそのメンバー」
「ステラ?へぇ〜そうなんだ!」
俺は絶句した。
Stellaすら知らないのか?
こんなことってあるだろうか?
電波の届かない、娯楽のない無人島暮らしなのか?
違うよな!?
「・・・ごめん、俺の説明が悪かった……ここ渋谷の方が近いもんな。そっちの話しないとな。いま俺たちStellaが渋谷ジャックしてるんだよ!田園都市線の所もスクランブル交差点のビジョンもあとあそこのCDショップも!俺たちの1stアルバム一色だから!見たことあるだろ?あれがStella!」
「あれって言われてもわかんないけど、そうなんだ〜!渋谷ジャックなんてすごいじゃん!」
チーーン。
CMにもバラエティにも映画にもドラマにも出て、街中に広告があって、本屋には表紙の雑誌がたくさん並んでいて。
世の中に俺という存在が溢れているのに、こんなことってあるだろうか。
仮に俺のこともStellaのことも知らなかっなとしても、芸能人と会えてこんな無反応な人間なんてコイツぐらいだ!
「ここは『キャー』ってなるとこだから!写真とか握手とかサインとか求めてくるとこだから!!」
すると、さっきからチラチラと俺らの様子を伺っていたバイトの女の子が話に入ってきた。
「そうですよ店長!!とりあえずサインもらってお店に飾りましょうよ!!」
彼女はちゃーんと俺のことを知ってくれているらしい。
そう、これが普通の反応なんだ。
小川がおかしすぎる。
「ダメよ。このお店のコンセプトは〝癒し〟なの。お客さんが現実を忘れてのんびりできる空間を提供するっていうコンセプトがあるんだから!サインとかは飾らないの」
さすがの俺もプライドに傷がついた。
「・・・同窓会とかで俺の話出てない……?テレビとかさ、ラジオとか雑誌とか。俺わりと出てる方なんだけど……」
「そうなんだぁ!すごいじゃん!」
俺はもう言葉が出なかった。
そんな俺を察してか、バイトの子が「あ、でも写真とかサインは確か事務所NGでしたよね?握手いいですか?」と声をかけてくれた。
そう、この子の言う通り、うちの事務所は写真やサインに厳しいのだ。
本当は撮ってあげたいし、サインもしてあげたいんだけど。
世の中には、芸能人のサインや写真を高額で売ったり、真似て書いたサインで小銭を稼ぐようなしょうもない奴がたくさんいる。
うちの事務所の方針は、そんな奴らに騙される人をなくすためにあるらしい。
ここは握手にとどめた。
「あぁ、そういえば誰かが話してたかも……ごめん、私2次元にしか興味ないから、芸能界とか疎くて!」
あぁ、神様。
久しぶりに会った同級生は、どうやらとんでもないアニメオタクになっていました。
俺は腕を組みながら自分で自分に言い聞かせるように言った。
「ごめん、何の話してるワケ?アンタが何?」
「例えばさ、新宿。行くっしょ、新宿。東口と西口の通路に大型ビジョンあるだろ?今《《俺が》》出てるサイダーのCMが流れてるし、プロムナードの方は《《俺が》》イメージモデルやってる脱毛サロンの広告がどーんと載ってるから!あとグミのCMもやってんだけど、それのラッピング電車が山手線を走ってるし、ホームから見える看板にも《《俺の》》広告めちゃくちゃあるから!!」
「あ〜。そういえばアンタなんかアイドル活動してるんだっけ?」
なぜだろう、無性にイラっとする。
いや別に間違ってはいないんだが、〝アイドル活動〟って、なんとなくまだ売れてないアイドルのことを言う時に使う気がするのは俺だけだろうか。
「・・・まぁそんな感じ。Stellaって言えばわかるだろ?俺はそのメンバー」
「ステラ?へぇ〜そうなんだ!」
俺は絶句した。
Stellaすら知らないのか?
こんなことってあるだろうか?
電波の届かない、娯楽のない無人島暮らしなのか?
違うよな!?
「・・・ごめん、俺の説明が悪かった……ここ渋谷の方が近いもんな。そっちの話しないとな。いま俺たちStellaが渋谷ジャックしてるんだよ!田園都市線の所もスクランブル交差点のビジョンもあとあそこのCDショップも!俺たちの1stアルバム一色だから!見たことあるだろ?あれがStella!」
「あれって言われてもわかんないけど、そうなんだ〜!渋谷ジャックなんてすごいじゃん!」
チーーン。
CMにもバラエティにも映画にもドラマにも出て、街中に広告があって、本屋には表紙の雑誌がたくさん並んでいて。
世の中に俺という存在が溢れているのに、こんなことってあるだろうか。
仮に俺のこともStellaのことも知らなかっなとしても、芸能人と会えてこんな無反応な人間なんてコイツぐらいだ!
「ここは『キャー』ってなるとこだから!写真とか握手とかサインとか求めてくるとこだから!!」
すると、さっきからチラチラと俺らの様子を伺っていたバイトの女の子が話に入ってきた。
「そうですよ店長!!とりあえずサインもらってお店に飾りましょうよ!!」
彼女はちゃーんと俺のことを知ってくれているらしい。
そう、これが普通の反応なんだ。
小川がおかしすぎる。
「ダメよ。このお店のコンセプトは〝癒し〟なの。お客さんが現実を忘れてのんびりできる空間を提供するっていうコンセプトがあるんだから!サインとかは飾らないの」
さすがの俺もプライドに傷がついた。
「・・・同窓会とかで俺の話出てない……?テレビとかさ、ラジオとか雑誌とか。俺わりと出てる方なんだけど……」
「そうなんだぁ!すごいじゃん!」
俺はもう言葉が出なかった。
そんな俺を察してか、バイトの子が「あ、でも写真とかサインは確か事務所NGでしたよね?握手いいですか?」と声をかけてくれた。
そう、この子の言う通り、うちの事務所は写真やサインに厳しいのだ。
本当は撮ってあげたいし、サインもしてあげたいんだけど。
世の中には、芸能人のサインや写真を高額で売ったり、真似て書いたサインで小銭を稼ぐようなしょうもない奴がたくさんいる。
うちの事務所の方針は、そんな奴らに騙される人をなくすためにあるらしい。
ここは握手にとどめた。
「あぁ、そういえば誰かが話してたかも……ごめん、私2次元にしか興味ないから、芸能界とか疎くて!」
あぁ、神様。
久しぶりに会った同級生は、どうやらとんでもないアニメオタクになっていました。



