【完】遊佐先生の甘い熱






飛鳥も気まずそうに目を逸らした。
俺的に。付き合ってても、そうじゃなくても、どうだってよかった。




飛鳥のこと、諦めるつもりなんてなかった。


それは…なんでかな。
飛鳥も、どこかで自分のことを好きかもしれないって思ってたからかもしれないし。



飛鳥の男友達の中で、俺が一番だと思ってたからかもしれない。





『…付き合ってないよ』





その答えを聞いて、俺は安堵した。
飛鳥は…。
あんな、単純な理由で人を選ぶ人間じゃない。



わかってたから。
俺の想像する飛鳥像であってくれと、どこかで期待していたのかも。





『俺さ、春って好きだ』


『…え?』




今しかない、って思った。
桜並木の下。
髪をなびかせる飛鳥に、俺は立ち止まったまま淡々と。




『たくさんの出会いを届けてくれるし、それに』


『…それに?』



『…飛鳥には、桜が似合うから』