飛鳥は運動が得意な男が好きだったし、中村はその条件にぴったり。
しかも、中村はその数日前に飛鳥に告白をしたばかりだった。
『え…中村のこと好きなの?』
『うーん。好きとまではいかないけど、気になってる…みたいな?』
煮え切らない態度。
俺はむしゃくしゃした。
見ているだけじゃ満足できないことに、俺はずっと前から気づいてたのに。
行動に移せない俺はヘタレだ。
飛鳥を物にする自信がない。
『そっか。まぁ…いいんじゃない? 中村イケメンだし』
ガキながらに嫉妬して、思ってもないことを口に出した。
本当は、飛鳥の彼氏になるなら俺だって思ってたのにな。
俺の発言をきいて…飛鳥は、悲しそうに目を伏せた。
なにかを期待していたんだろうか。
今でも…分からない。
『お前あれでよかったの?』
『…うん』
十環にすら嘘をついて。
俺、何がしたいのかわからなかった。



