【完】遊佐先生の甘い熱






『お前さぁ、飛鳥のこと好きなの見え見えだって』




親友の十環からもそんなことを言われた。
どうやら俺は、かなり分かりやすいらしい。




果たして、その本人は…。
気づいてないだけなのか、
気づいてるけど気づいてないふりをしているのか。




飛鳥のことをいくら観察しても、その答えは出なかった。





『告白とかしねえの』




十環からは毎日のように聞かれた。
しない。するつもりなんてなかった。



飛鳥はどう考えても高嶺の花だったし…。
俺なんかが独り占めしていい逸材じゃない。



見てるだけでいい。
手に入らなくていい。





『…いいんだよ。このままで』


『ふーん。後悔だけはすんなよ』





後悔? するかもな。
飛鳥が他の男の手に渡ったら…。



自分でも、どうなるか想像できなかった。
だって、飛鳥には男の影がなかったから。