【完】遊佐先生の甘い熱






…だから、飛鳥が最初。
俺は初恋って呼んでる。




『席、となりだね。よろしくね』




新学期がはじまって、はじめての席替え。
ずっと見てるだけだった飛鳥と、まさかの隣の席。




ふわっと微笑む飛鳥に、俺は毎日目を奪われていた。




『えっと…遊佐くん、だっけ』




名前…覚えられてた。
それだけでどうしようもなく嬉しくて…。



浮かれて、つい。




『あ…下の名前、泰志だから…』




言い切らない態度で、下の名前で呼んで欲しいとアピールをした。
我ながらキモかったよなぁ…。




飛鳥と話すときの俺は、いつでも変だった。
今の発言、鬱陶しかったかな? とか。
あのとき話しかければよかった…とか。



毎日、夜になるとベッドの上で反省会。
自分でも驚くほど、飛鳥にハマっていた。





『じゃあ、泰志ね!!』




はじめて飛鳥が呼び捨てで呼んでくれた日のこと…昨日のことのように思い出せる。



好きな人に呼んでもらえた瞬間、自分の名前ってどこか特別に感じるものだ。




それからの俺は…たぶん、毎日のように浮かれてただろう。