【完】遊佐先生の甘い熱






( 遊佐SIDE )



◎ ◎ ◎




百瀬に昔話をしたことで、高校の頃のことを思い出していた。
あの頃は…いちばん、青春だったと思う。




元々、中学のときから女にモテることもなく、運動も苦手だし…。
友達も特定の数人だけで、冴えない人生を送ってた。



そんな俺の目の前に現れたのが、飛鳥。



──大森(オオモリ)飛鳥。



俺と同い年で、眉目秀麗、成績優秀。
まさに絵に書いたような美人だった。



家からいちばん近い高校を受験しただけだったから、恋愛には期待してなかった。


だけど…。
俺は、一目にして恋に落ちた。




飛鳥の前に元カノはひとりだけ。
でもそれも、ちゃんとした恋愛ではなかった…と思う。



こんなことを言うのは元カノにも失礼だけど。
付き合ったのだって中学2年の半年間だけだし。



向こうは俺のことを好きでいてくれたかもしれないけど…。
俺としては、ほぼ同情みたいなものだった。