【完】遊佐先生の甘い熱





「アイツの存在がデカいなぁ」




あぁ…。
愛おしいものを思い出すような目線。



そんな顔、見たくない。
“アイツ”って、わざと濁したの?



そんなことしたって…あたしには、分かっちゃうのに。




先生が運動好きになった理由、飛鳥さんが原因なんだね…。





「アイツは元々運動が得意でさ。俺もそれに見合う男になりたくて、運動を好きになる努力をしたんだ」





そっか…。
飛鳥さん、運動得意だったんだ。



あたしとは正反対。
勝てない要素、これ以上増やさないでよ。





「体育教師になったのだって、そう。精一杯努力して体育で好成績を残せるようになった俺の背中を押してくれたのは、アイツだった」




先生が体育の先生になったのは…飛鳥さんの、おかげ。




その事実が、あたしの胸を締め付けた。


やだな。
先生の過去、あんまり聞きたくないかも。