なんで…そんなに焦ってるの?
あたしが傷ついたのが分かったから?
先生…。
本当は、あたしの気持ちに気づいてるんでしょ。
でも。
教師だから、見て見ぬふりをしてるんだよね…。
先生は、ずるい。
目をそらすんじゃなくて、ちゃんとあたしを見て。
そして、ちゃんと…振ってくれたらいいのに。
「先生」
「ん?」
「…飛鳥さんのこと、まだ好き?」
なんとなく。
あの日、教官室で飛鳥さんとの写真を見たときと同じ質問をしてみた。
どうせ、またはぐらかされる。
先生は…本当のことを言ってくれない。
いつもそう。
「……好き、かもなぁ」
…え。
心臓がぎゅって握りつぶされたみたいに痛い。
冷や汗。…血の気がサッと引く感じ。
「でも…五年前に別れたんでしょ…?」
「うん。だけどその五年間、飛鳥を超える人が誰も現れないんだ」



