地元でも有名な展望台。
よく見えるって噂だけど、まだ昼下がりだからか、人は誰もいなかった。
先生とふたりきり。
いつまでも慣れない。
あたしのワガママに付き合ってくれてありがとう…。
先生、大好き。
「やっぱり展望台は夜に来るべきだな」
先生がすこし笑いながら言った。
うん…。
でも、あたしが生まれ育った町。
ちょっとだけ感慨深いよ。
「いいお天気」
「だな。太陽の光浴びるとさぁ、眠くなるよな」
ふわぁ、とあくびひとつ。
あ…かわいい。今の、写真撮りたい。
「人があくびするとこそんなに見つめて、趣味悪いぞ! 百瀬」
趣味悪いかな?
だって…先生の表情とか仕草とか。
ぜんぶ、目に焼き付けたいんだもん。
あのね…。
あたし、実はたまに不安になるの。
先生は教師だけど…。
いつまでも、この学校の先生ってわけじゃない。
きっと、異動とか…転勤。
可能性はいくらでもある。



