「そうだ、百瀬」
「ん…?」
「高木先生から、今日は大事をとって早退してもいいって言われてるんだけど」
高木先生。
保健室の先生。
早退かぁ…うーん。
でもまだ半日あるし、あたしもう元気だし…。
「いや、あたしまだっーー」
「ただそうなれば、俺が送ってくことになるけど」
……え?
まだ学校に残る、と言いかけたあたしを遮った先生の言葉。
俺が送ってく…って…。
つまり、先生の車に乗れちゃうってこと…?
なんでそんなことに…?
「俺、今日はもう授業ないし。ひとりで返すのも心配だしなぁ?」
分かり切ったみたいな先生の顔。
なに…それ。
あたしが断るわけないって、知ってて…。
「か、かえるっ」
「…ひとりで?」
「先生と!!」
勢い余ったあたしに、先生は「はいはい」と笑ってなだめる。
「じゃあ教室からカバン持ってくるから、お前はもうちょっと寝てろ」
そういって布団をかけなおされたけど。
このあと、先生とふたりきりになれるかもしれないと思ったら。
…ドキドキして、寝れるわけないよ…。



