「ていうか、あたしどうやってここまで来たの?」
まさか自分で歩いたとか、夢遊病的なことではないよね?
「…先生が運んでくれたとか?」
冗談半分で聞いた。
そんなわけないかなって、油断してた。
「うん」
…あっさり、頷かないで。
先生が、運んだ、あたしを。
「ど、ど……どうやって!?」
「え? そりゃ、こうやって」
先生がジェスチャーする。
こうって……どう見ても、お姫様抱っこなんですけど…?
「えぇ…?」
先生。
あたし、熱出そう。
っていうかもう。
しんでもいい…。
「そんな嫌だった? 傷つくなぁ…」
「ち、ちがうよ…」
ちがう。
わかってない、先生はなにも。
あたし、たったそれだけのことで胸いっぱいなんだよ。
先生と触れ合えるだけで、幸せの過剰摂取。
好き。
今日も好き。
…先生の彼女になったら、こんなこと日常茶飯事なのかな。



