好きになった理由は、本当に単純で不純。



顔が可愛いし華奢だし、こんな奴と付き合えたら周りに自慢できるんだろうなぁってぼんやり思ったことがはじまり。




『のあ』




あの日の笑顔、忘れられない。



放課後、教室でふたりきり。
クラスメイトは全員帰ったあとで、机に伏せて寝てる弥生を、わざと起こさなかった。




寝顔見たかったし。
…なんか、かわいかったし。




しばらくして目を覚ました弥生は、ふわっと笑って俺の名前を呼んだ。




一瞬にして目を奪われた。
昔からずっと、女みたいな自分の名前が好きじゃなかったけど、はじめて悪くないと思えた。




俺の中で、弥生は昔からずっと魔法使い。
好きすぎて、最近、苦しい。





『のーあくんっ』





普段しない”くん付け”で、廊下を歩く俺の横にぴったりくっついてくる弥生。
俺の心臓がどれだけざわついてるか、知らねえんだろうな。このバカ。