「好きなやつにしか懐かない」
「ふーん……」
懐くって意味わかんないけど。
甘えるとか、デレデレになるとか、そういう言葉じゃない? 普通。
「乃蒼は意外にも一途」
「…はぁ」
「すごい発見だよ! 偉いねぇ、乃蒼」
絆創膏貼り終わった乃蒼の頭を撫でたら、腹いせかのように、あたしの靴擦れした傷口をぐって指で押してきた。
指圧? まさかの!?
「いっ……〜〜!!」
痛すぎて涙目。
えらくなんかなかった。
ひどい! いじわる! 悪魔ーー!!
「なんとでも言え、この悪魔」
「えぇ…? 友達に向かって何その言い草は」
「ハイハイ。俺は友達だからね。いい子にしとくね」
うん……うん?
乃蒼はいい子だよ?
今のはちょっと…引いたけど。
「さっきから何言ってるかわかんないんだけ、どっ」
最後の1文字で思いっきり立ち上がって、無意識に靴擦れしなかったほうの足に体重をかける。
「……なにが言いたいの?」



