「百瀬さん私服かわいいねー」
「ホント? ありがとう」
服褒めてもらえちゃった。
優しいね、みんな。
「ほら、さっさと行け」
「はいはい。じゃあね、また学校で」
男の子たちは数個向こうのレーンに行った。
…あれ? 乃蒼、ちょっと不機嫌?
「あいつら弥生のこと狙ってんじゃね」
「…えぇ? なんで?」
そんなことないと思うけどなぁ…。
っていうか。乃蒼が不機嫌な理由って、それ?
「なんとなく。顔赤かったし」
「そだっけ」
「うん」
…気まずい沈黙。
なんか、さ。
「乃蒼ってあたしのこと好きだよね」
「ぶっ…!?」
乃蒼。サイダー吹き出した。
前に他のお客さんいなくてよかったね。
「友達としてだよ?」
「あぁ……そりゃ、まあ」
変な意味で考えた?
あたし、優しいからね。
サイダー吹いちゃった乃蒼の口、ハンカチで拭いてあげるね。
「…ハンカチなんか持ち歩いてんの」
「うん。女の子だからね」
「……ふうん」
礼儀でしょ?
乃蒼は、まだどこかご機嫌斜め。



