「ホントだ」
そういって、スマホを手に取る。
ディスプレイには『 乃蒼 』の文字。
…乃蒼から電話?
珍しい。
不思議に思いながら。
ソファの上で膝を抱えたまんま、通話ボタンを押した。
「もしもーし」
『あ、弥生?』
そりゃ、あたしのスマホですもの。
当たり前のことを聞く乃蒼にふっと笑って、「そだよー」なんて答える。
『なにしてた?』
「テレビみてた」
『ヒマしてたってこと?』
「うん、超ヒマだよ」
ご飯待ちだったからね。
お腹は鳴ってる。
なんだろ。
まさか、今から呼び出されちゃう感じ?
『そっか。…あのさぁ』
「うん?」
なかなか言い出さないなぁ。
そんなに言いづらいこと?
もしかしてコクハク?
…いや……、ないか。
ありえないな。



