「ん?」
なんでもない…って言う前に、先生はひらめいたような顔をした。
「分かった! お前、コーヒーが飲みたいんだろぉ」
「…え」
突拍子もないことを言う先生。
分かったって…なにも分かってないじゃん。
そんな先生がかわいくて、ふふっと笑ってしまった。
先生…やっぱりすごいよ。
一瞬であたしを笑顔にしちゃう。
魔法使いだね…。
「買ってきてやるから、留守番してて」
「うん…」
「ひとりになっても泣くなよ!!」
泣かないよ。
先生の前で、弱い姿ばかり見せられない。
ちょっとでも長く先生といたいから、『コーヒー飲みたいなんて思ってないよ』とは言わなかった。
あたしね。ずるいよ。
先生が思うほど、いい子じゃないよ。
先生は。
あたしが何をしたら、女の子として見てくれる?