【完】遊佐先生の甘い熱







「大丈夫、だから……先生は教室戻ってあげて…」





鈴木さん、ひとりにしてきたんでしょ?
あたしなんかに構わないで、行ってきなよ…。




子供みたいな嫉妬。
いつまでも大人になんてなれない。




あたしに構って。
他の子、見ないで。
ずっと駄々をこねてる。泣いちゃうくらいね。




…迷惑、だよね。
めんどくさいって思ってる?





「戻らないよ」


「え…」


「こんなに泣いてる大事な生徒放置してどっか行くわけないだろ」





一瞬、期待した。
バカだなぁ…。



あたし、ただの生徒だよ。
ちょっと体育係でふたりきりになる機会が他の子より多いからって、調子乗ってた。




あーあ。
こうやって現実を突きつけられていくんだ。
先生のこと好きでいるの、やめたい…。






「とりあえず、教官室いく? お前も泣き顔見られたくないだろ」





あたし、静かに頷いた。
もうね。先生のこと考えるの辛すぎて、やめたいよ、ぜんぶ。