スクバのひもを握りなおして、涙をこらえる。
でも…あたしの緩んだ涙腺は、あっという間に決壊した。
「百瀬!!」
うしろから、名前を呼ばれた。
大好きな声…大好きなひと。
あたしが欲しくて仕方ない、先生…。
先生の彼女になりたい。
何度思ったかな。
「せ、んせ…」
涙を流しているあたしを見て、ぎょっとする先生。
ごめんね、困らせてるね…。
でも、もっと困って。
あたしのことで頭いっぱいにして。
…飛鳥さんのことも忘れるくらい、あたしだけ考えて。
ムリだって分かってるけど、未だにそんな夢を見ちゃうよ…。
「百瀬、どした? なんで泣いてんの」
優しい声に、余計涙があふれる。
だって…だって。
先生のことが好きすぎて…。
なんて、とてもじゃないけど言えない。
先生に振られたら。
それこそ…学校、来れなくなっちゃうよ。



