【完】遊佐先生の甘い熱






不意に。
先生に恋した日のことを思い出す。




先生に告白した挙句、泣いて教官室を飛び出していったあの子…。
今思えば、上履きの色からして先輩だったけど。




あたしも、ああなる未来見えてるから。
告白なんてしないよ。
傷つきたくないし。




でも。
見てるだけなんて、いやだ…。
先生の特別になりたい。




茉白にいったら、わがままだよって怒られちゃった。





「あ! 弥生、思い出した」


「…え?」


「水城先生に用事あったんだった」





急に思い出したように廊下で立ち止まる茉白。
水城先生? そういえば、茉白は社会係。





「あたしもついてこうか?」


「いや、大丈夫!! 先に帰っててっ」




あたしの返事も聞かずに、引き返して廊下を走っていく茉白。
いつも強引なんだから…。




告白現場にはあたしを連れ出すのに、先生への用事はついてこなくていいって言う茉白。
自由人。あまりにもね。




あたしは仕方なくひとりで廊下をとぼとぼと歩く。
もしかしたら、教室に先生がいるかも…なんて期待しながら。