先生の机に元カノとの写真があるのを目撃してから、数日。
五月も終わりに近づき、プール開きの日はやってきた。
先生にだらしないからだを見られたくなくて、ちゃんとダイエットもした。
楽しみだったはずなのに、心はまだ沈んだまま。
「じゃあ準備体操終わったやつから25m!!」
先生の掛け声で、次々プールに飛び込んでいくクラスメイト。
あたしはね。泳ぎたくないから、ちょっとゆっくり準備体操。
「こら、百瀬。お前わざとゆっくりしてるだろ!」
「…違うもん」
違わないけどね。
運動キライ。水泳も、例外じゃない。
休めばよかった…。
「泳ぐの嫌なのはわかるけど…」
イヤだよ。
でも、それだけじゃない。
気が進まないの…。
あの写真のせいで。
先生、知らないでしょ?
”先生の元カノ”っていうワード、あたしにはだいぶ強烈。
「ほら、行った行ったぁ」
「…はぁい…」
仕方なくプールに飛び込んで、へたくそなクロール。
息継ぎできないよ…。
先生への恋心も、息継ぎの仕方忘れちゃった。