【完】遊佐先生の甘い熱






「でも、お前俺のスーツ姿微妙って言ってなかった?」





ひどい、先生。
微妙なんて言ってない。



ジャージのほうが好きだけど…。





「スーツもかっこいいなって思ってるもん」





また頬を膨らませたあたし。
先生は、子供をなだめるみたいに頭を撫でてくる。



もう…。
子ども扱いされてるはずなのに、全然イヤじゃない。
むしろ、うれしい。





「ありがと。大事に使うな」


「…うん」




大事にしてね。
あたしだと思って。




大切そうにネクタイをカバンにしまってくれる先生を見守っていたら、ふと机の上に置かれた写真に目がいった。






「せんせ……それ、なに?」





ドクン。
心臓が、嫌な音をたてた。



だって…先生の隣には、若い女の人が映っている。





「あー、これ? いい笑顔してるだろ、俺」





うん…。
楽しそう。




でも、あたしが気になってるのはそこじゃないよ。