「先生、誕生日おめでと」
「……誕生日ぃ?」
まさか教官室に来たのがそんな理由だと思わなかったのか、先生は首を傾げた。
サラッと、柔らかそうな黒髪が揺れる。
「三日後でしょ?」
「そうだけど。まだ三日もあるぞ」
本当は、当日にお祝いしたかったよ。
でも…。
「…だって、当日だったら、先生女の子たちに囲まれそうなんだもん」
ぷくーって頬を膨らませる。
想像しただけでやきもち妬いちゃう。
先生モテるし。
去年は新学期はじまったばっかりだったから、囲まれはしてなかったけど…。
今年は、どうかな。
あたしが…独り占め、したいよ。
「ははっ。なんだよそれ! ないって」
「笑い事じゃないのに…」
先生、わかってない。
どれだけ生徒から人気があるか。
先生と付き合いたい女の子がどれだけいるか。



