知りたくなかった。
片想いって辛いことばっかり。
でも、知れてよかった。
片想いって辛いことだけじゃないから。
「せんせ」
ひょいって。
教官室のドア、顔を覗かせた。
いつもいる。
大好きな笑顔で、あたしを迎えてくれる。
毎日、毎秒。
あたし、恋に落ちていく。
ダメだよ…先生。
これ以上、好きにさせないで。
「百瀬。おいで」
おいで…だって。
あたしはにんまり笑って、先生の向かいに腰を掛ける。
放課後。
体育係の特権。
…ふたりきり。
あのね。
何か月経っても、先生とふたりきりはドキドキするよ。
あたしだけだよね? きっと…。
先生も、あたしを意識して。
気づいてた。
ただの生徒じゃ、物足りなくなってること。
…ダメな生徒でごめんね。
先生のこと大好きで、ごめんね。