先生は好きだけど、運動なんか好きになれるわけないって。
だけど…。
先生と出会えてから今日までの奇跡みたいな日々。
先生が愛したものまるごと、愛したいなって思ったんだよ。
学校。
ココア。
猫。
体育。
運動。
飛鳥。
水城先生。
…百瀬弥生。
だから、自分のことも好きになる。
運動だって、もう平気。
「運動するの、ちょっと好きになったかも」
「…マジか」
先生、感動して目うるませてる場合じゃないよ。
今年も先生のそばでグラウンドに立てること、嬉しいの。
…先生も、同じ?
そしてドッジボールがはじまった。
男女比率は5:5。
先生は。
優しいから、女子には本気で当てられない。
男子ばっかりアウトにして、贔屓してるみたい。
ム…ってちょっとだけ拗ねてみたら。
「百瀬さん、あぶないっ!!」
──デジャブ。
大きな鈍い音と共に、あたしの視界は空へ。
「なにしてんだ! このノーコン!!」
って先生が叫ぶ声を最後に、あたしの意識は途切れた。