始業式から間もなくして、新学期はじめての体育の授業。
夏になりきれてない4月、まだちょっと肌寒い。



グラウンドでドッジボールだって。
これまた先生が一番楽しみそうな競技。




「さむ…」




寒がりな茉白は隣でジャージの袖をさすって震えてる。
でもあたしはね。先生見てたら、勝手に体が火照っていくよ。





明るい太陽の下、先生が振り向いた。
風になびいた黒髪…。
白いTシャツに青ジャージ。


くりっとした二重の瞳。
愛おしそうに細められるまぶた…。



あぁ、全部、泣きそうなくらい綺麗だなぁ。





「百瀬も来いよ」




…うん。
先生となら、どこまででも。



あたしが駆け寄ると、なぜか驚く先生。





「運動嫌いな百瀬が、珍しい」




そういうことね。
先生、きいて。




あたし。
先生と体育は別物だって思ってた。