『3年5組担任の遊佐泰志です。三年間同じクラスの奴らもいてうれしいです。今年は受験だけど、体育も手抜かないから覚悟しとけよ!』





始業式は終わったけど、先生の挨拶を思い出して顔が綻ぶ。
ぜったい…あれ、あたしの顔見てたよね。





先生…もう。
ずるい。めちゃくちゃ抱きしめたくなったよ。




「弥生、カラオケとか行く?」


「あー…」




茉白に誘われて、一瞬黙る。
返事を迷っていたら、隣から乃蒼が。





「弥生は遊佐に会いに行くんだろ。俺らだけでいこうぜ」





…うん。そうだね。
そうだった。



一番大事な任務が残ってたよ…。





「ありがと、乃蒼。やさしいね」


「……うっさい」




あ。
乃蒼、照れてる。




見上げて笑ったら乃蒼の顔がみるみる赤くなっていくんだもん。
おもしろ。





「そっか。じゃあ、弥生。また明日ね」


「うん、バイバイ」





ふたりを見送って、あたしはカバンを持って教官室へ向かった。