「こんなかんじ?」
豆を挽きながら俺を見上げる弥生。
クラクラする。
…なんでこんなことになったんだっけ。
弥生が俺をただの教師として見てないことは薄々気づいてた。
気づかないふり…してた。
最初は、弥生のほうが俺を男として意識しまくなってたよね。
たぶん。
それなのにさ、なに、今のこれ。
…ムカつく。
付き合ったら男として意識しなくなるとかある?
普通逆じゃね?
てか、弥生、俺のことちゃんと好き?
…負の連鎖。
自分が嫌いになりそう。
付き合って一か月でこんな気持ちになんの、俺。
めんどくさい彼氏すぎる…。
俺と弥生、8歳も離れてんのに。
…女々しいし、こんな女子高生に翻弄されてて、情けない。
ひとりで勝手に肩を落としていたら、突然弥生に袖を引っ張られた。
「先生、どしたの? なんか悩んでる?」
悩みのタネはお前だ、とは言わない。
上目遣いもやめて。
…”先生”?
……それじゃん。