廊下で見かけるたび。
HRで教卓に先生が立つたび。
…あれが、あたしの、彼氏。
心の中で何度も反芻した。
「…はぁ」
小さくため息をついて。
放課後、ひとりぼっちの教室。
あたし、今日の日直。
偉いから、ちゃんと学級日誌書いてる。
でも先生のことを考えるのに夢中で全然進まないよ…。
「ゆさ、たいし…」
学級日誌の隅っこ。
先生の名前を書いては消して。
なにしてんだか。
「…呼んだぁ?」
だけどね。
あなたがそうやって登場してくれちゃうから。
あたし、また調子に乗っちゃうんです。
「先生だぁ」
「嬉しそうな顔しちゃって~」
うん、うれしい。
だって、まさに今いちばん会いたい人だったから。
ていうか、先生に会いたくない瞬間なんて、ないよ。
毎秒会っていたいし、顔も見たいし、声も聞きたい。
わがままだって呆れるかな。