「あいつ、ノーコンすぎる」
「まぁ…そういうこともあるよ」
サッカー部だし、あたしにボール当ててきた子。
たぶん、手でボール扱うの慣れてなかった。
仕方ないのに。
…先生、もしかして、ご立腹?
「怒らないであげてね」
「…まぁ、百瀬がそれでいいなら」
「うん。だんだんよくなってきたし」
先生。
あたしのために怒ってくれてるの?
…嬉しい。
「先生、授業はどうしたの?」
「自由時間にした」
「…そんな、あたしにずっと構ってなくてよかったのに」
本心だけど、本心じゃない。
ホントは、先生がいてくれて嬉しかった。
「大事な生徒のこと放置するわけないだろ」
「…うん」
そうだね。
それでこそ先生だ。
…好き。
何度でも、先生に恋する。
「俺、もっと弥生ちゃんのこと見とくから」
見てて。
たくさん、あたしのこと。
弥生ちゃん呼びにはもう突っ込まない。
あたしを見下ろす先生の優しい優しい目に、あたしはとろけそうになるよ…。