【完】遊佐先生の甘い熱








…単刀直入に言うと、楽しかった。
はじめて、運動が悪くないと思えた。



先生には負けちゃったけど。




「はぁ…子供相手に本気出し過ぎでしょ、情けない!!」


「うるさいなぁ。負け犬の遠吠えって言うんだよ、そういうの」





茉白と先生がなんか喧嘩してる。
あたしは楽しかったから、それだけでいいや。





あたしは二人から離れて、先にスポドリを手に取って蓋を開けて飲もうとする。




…背中を向けていて、見えなかったんだ。





「あっ!! 百瀬さん、危ない…っ」





クラスメイトの男子の声が聞こえたころには、時すでに遅し。
タイミングよく振り返ってしまったあたしの顔面に、バレーボール直撃。




どうやら、壁で跳ね返ったらしい。



だとしても…ピンポイントすぎるよ。





「百瀬っ!!」




先生の声が聞こえる。
あたしはゆっくりまぶたを閉じて、気を失った。