「…あ、ごめん。盗み聞きするつもりなかったんだけど」
「いや、こんなとこで話してたほうが悪い」
告白を聞かれていたのが恥ずかしかったのか、どこかよそよそしくて。
…距離を感じる。
「中、入ろう」
先生のひとことで、あたしは体育館用のシューズに履き替えて器具庫に向かう。
なにか喋らなきゃ…って思うのに、気が進まない。
「…今日は、泣いてなかったね」
「え?」
「先生に振られた女の子、全員泣いてるイメージ」
あは、って笑い話にする予定だった。
だけど先生は笑わない。
そのかわり、「あー」と真剣な顔で天を仰いで。
「もう、優しくしないって決めたから」
その理由は。
とてもじゃないけど、聞けなかった。
先生。
それもいいけどね。
あたしには優しくしてよ…。
「優しくしなかったら泣かないって、気づいた?」
「うん」
遅いよ、先生。
中途半端に優しくするから、余計傷ついて泣いちゃう。
気づけてよかったね…。



