「…先生、好きな人できた?」
先輩が尋ねた。
…先生は、答えない。
どんな顔をしているんだろう。
なにも見えないけど、あたし、心臓が高鳴る。
期待…したくもなるよ。
だって、あたしへの返事を保留中なのに、他に好きな人を作るなんて…。
普通、ありえないもん。
先生にはそんな人間であってほしくないもん。
「…そ。気持ち、伝えられてよかった。ありがとね」
先輩は、少し小走りで立ち去っていく。
一瞬、顔が見えたけど…。
…先生、はじめてだよ。
振ったのに、女の子泣かせなかったの。
先生に大きな心の変化があったとしか、思えなくて。
…無意識に、口角が上がる。
これで振られたら、ホントに笑えるけど。
呆然と立ちすくんでいると、先生が体育館裏から歩いてきた。
顔を合わせた途端…気まずそうに、顔を逸らされる。



