「百瀬の今年は安泰だな」





…そうかな。
それは、あなたにもよるよ?




先生が、あたしの彼氏になってくれたら…。
それはそれは、良い一年になるだろうね。





「先生たちは先にお参りしてきたの?」




茉白が聞いた。
ふたり同時に頷く。
…シンクロ。かわいい。



ていうか。
思わぬところで先生の私服を拝めてしまって、かなり心臓がパーティ状態なんですけど。





「なにお願いしたのか教えてよ」


「誰が言うか!」





ふざけ半分で笑いながら答える水城先生。
…ねぇ。先生。どうして、あたしの目を見たの?



あたしの目を見て…瞳を揺らした。
…お願いって、あたしに関することだったりするのかな。



プラスな感情のお願いだったらいいけど…。





「じゃあそろそろ行こうぜ」


「おー。また学校でな、ふたりとも」





手を振っておみくじを引きに行く先生たち。
先生…。会えると思ってなかった。


うれしい…。





「わたしたちもお参りしよっ、弥生」


「…うん!」





神様、お願い。
先生と付き合えますように。


…先生の気持ちが、あたしに向きますように。





パンパン、手を合わせて、そんなことを願った。




あたしの願いはそれだけ…。
言ったでしょ。



他にはなにもいらない、って…。