「っ……も、いいっ……!」




…わ。
びっくりした。




いきなり。
教官室から、泣きながら女の子が飛び出してきたからね。




な、なに?
もういいって……中にいるのは、先生?




あたしは走り去っていく女の子の背中を目で追いながら、恐る恐る教官室に顔を覗かせる。





「…あぁ、百瀬か…」





先生ひとり…。
ってことは、先生があの子を泣かせたの?




「先生…? 今のって…」




聞いていいのかわかんなくておどおどしていたら、先生は申し訳なそうに笑った。




「情けないよなぁ」


「…え?」


「…生徒を本気にさせる俺も俺だけどさ…」





あたし、そんなに鈍感じゃない。
先生…告白されちゃったんだね。



イケメンだし、好きになっちゃうのはわかる。
中身のことまではまだわかんないけど…。



あたし、その時点でちょっと興味が湧いた。
生徒が好きになっちゃう先生って、どんな人なんだろう、とか。
どんな性格で、なにが好きなんだろうとか。




いっぱいね。
先生のこと、気になってた。