【完】遊佐先生の甘い熱











「やっと冬休みだぁー」




昼休みの教室は、今日もガヤガヤ。




隣で、茉白がぐっと伸びをする。
夏休みが明けてから三か月半。



長いようで短かった。
いろんなこと、あったな…。





「なぁ」




思いを馳せていると、乃蒼があたしたちの前に立つ。
栗色の髪が風に揺れた。





「どしたの、乃蒼くん」


「クリスマス、遊ばね?」





茉白の問いに淡々と答える乃蒼。
そのお誘いはうれしいけど…。



んー、って、悩むふり。




「わたしはいいけどね。弥生がね…」


「…なんか用事?」


「いや、ほら、あれだよ。乃蒼くん」


「…あぁ」




先生か、と目を細められる。
お恥ずかしい限りで。



そう。
クリスマスはね。
あたしの、一世一代の大勝負。



…の、舞台にするつもり。




「なに? ついに?」


「はぁ……ドキドキして死んじゃいそう」


「はやいって、弥生」





だって。
仕方ないじゃん…。



もう決めたことだから、引き下がれないけどさ。