「ね、百瀬さん」
「はい?」
「連絡先交換しない?」
わたしの提案に、百瀬さんはにっこり笑ってスマホを取り出す。
こりゃ、泰志が好きになるのも分かるなぁ。
かわいすぎるもん。ひいき目なしで。
「出ました! これですか?」
「そうそう」
わたしのディスプレイに移る、【 弥生 】の文字。
目の前にいる…わたしの元カレの、次期彼女候補。
「弥生ちゃんって呼んでいい?」
「えっ…はい。ぜひ!」
「それから。弥生ちゃんも、敬語禁止ね」
「…え? で、でも、その…」
泰志が言っていた通り、本当に礼儀正しいな…。
大人顔負けじゃない。
こんないい子を子ども扱いなんて、失礼すぎない?
「つぎ敬語使ったら、罰ゲームね」
「…罰…?」
「そうだなぁ。泰志にキスする、とか?」
大慌ての弥生ちゃん。
かーわいい。
思わずにこにこしちゃう。