「な、なんの用…だったんですか」
「泰志にドライヤー返しにきただけよ」
「…ドライヤー?」
飛鳥と百瀬の会話を横から聞いてた。
そりゃそうだよな。
百瀬だって、俺が飛鳥とは五年前に別れたって知ってるはず。
たぶん、それが引っかかってるんだと思う。
そこで俺が、飛鳥の家にドライヤーを置きっぱなしにしてたことを説明する。
百瀬の顔があからさまに暗くなった。
なんで? …心配?
百瀬。
お前、俺のことどう思ってんの?
意識してとか生意気なこと言ってたくせに、特になんも攻めてこないし。
俺、待ってるみたいでいやなんだけど。
「ていうか。この子、噂の百瀬さんでしょ?」
あー。飛鳥。
お前、バカだ。マジで。
噂とか言うな。
もう…それなら俺も、振り切る。
「そうそう。可愛い顔してんだろ」
「ホントね」
飛鳥。
そのニヤついた顔、やめろ。
変に誤解されたらどうしてくれんだ。



