ーー放課後。
茉白にアドバイスされた通り、クラスメイトが全員いなくなったあと、教室で一人学習開始。
まずは数学…。
こう見えても地頭いいほうだし、大丈夫。
わかんないとこだけ飛ばして、基本スラスラと…。
あー…なんだっけ、これ…。
って、頭を悩ませていたら。
「お、やってんなぁ。百瀬」
「…せん、せ」
心臓、飛び跳ねた。
本当に来てくれるなんて…。
居残りしてよかった。
先生は口角を上げながらあたしの前の席に腰を掛ける。
…はぁ、ドキドキするなぁ。
集中できないや…。
「数学かぁ。この問題がわかんないのか?」
「うん。…先生、わかるの?」
「こう見えて理系だったんだぞ!」
運動しか脳がなさそうなのに?
…とか言ったらさすがに失礼だから、言わないよ。
「…なんだこれ。こんなん習ってない」
「え? いや、基礎のほうだから絶対やってると思うけど…」
「記憶になかったら習ってないのと一緒なの」